考える葦

考えていないようで、考えていて 考えているようで、考えていない 私。

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さよならとよろしく

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その人に恋する権利を失ってから、自分がこれからどうしたいのか分からなかった。その人と何回かその後で顔をあわせると不思議と楽しく話ができたりして。でも好きな気持ちは変わらない。その人がその人らしく生きている限り、私はその人が好きだと思う。

その人がくれたことはたくさんある。形に残らないものばかりだけど、私の人生変わった。
はじめて話したのは失恋話だった。なんて恋多き男なんだ、みじめな奴、と思った。でもその人が凹んでいるのをそのままにしておくことは出来なくて、ずっと話を聞いた。なけなしの私の誠意のつもりだった。私の失敗談を話したりしているうちに意外と話が弾んだ。それから色々なことについて話した。今でも覚えている。夢の話、内緒でやっていること、ふとした妄想、趣味、スポーツ、身の上話、下ネタ。なんでも話せた。話してくれた。その人はすごく趣味が多かった。というのもいろんな方面に友達がいて、友達を自分自身よりも大事にしていた。好きなものに対する思い入れが深くて、その話を聞いているのが好きだった。自分もすっかりその気になって、TSUTAYAでCDやビデオ借りてはその人の言葉を思い出しながら聴いたり観たりした。

その人を知れば知るほどにもっと知りたくなった。何が好きで、何を考えているのか。その人をつき動かすものはなんなのか。たぶん今の私はよく知っていると思う。その人が無邪気に嬉しそうに話しているのをみているのが嬉しかったし、深刻に考えこんでいるときは少しでも側にいて力になりたいと思った。

その人が、他の人には話しづらいことでも話してくれるのが嬉しかった。信頼されているということを体で感じた。なによりも私のエネルギーだった。

その人は私の話にイチイチ真面目に答えてくれた。私は行動が奇抜だとか不思議だと言われるから、私のことなんてわかってくれなくてもいいと思ってた。でもその人は私を変な奴というくくりでみないで、一人の人間として真正面から向き合ってくれた。その人にはどんな些細なことでも話したいと思った。自分の思ったことをなかなか口にできない私が、人に自分の思ったことを話したいと思ったのはその人がはじめてかもしれない。

その人は私に対して絶対嘘をつかなかった。私はずっと昔、好きだった人と、自分が信頼していた友達に嘘をつかれていたことがあって以来どこか人を信用するのが怖かった。その人を疑ってしまったときもあったけど、その人の全部を受け止めて、信じることの素晴らしさを知った。

まだまだたくさんあります。書ききれません。

けれど私は4年生になって、現実の世界に引き戻された。将来のこと、勉強、研究、新しくてそしてなかなか馴染めない環境。確かに手を差し伸べてくれた人はいたんだけど、私はいつしか彼に依存しようとしていた。ちょっと一人で考えれば分かるようなことでも、彼に大げさに相談しようとした。彼の気を引いていたかった。そうすればそうするほど、うまくいかなかった。本当のことが言いたかったけどいつも私が叱られるか彼の悩みを聞くだけで終わった。意気地なしだった。昔のことを思い出すと楽しすぎて余計に今が辛くなった。なら、悔いが残らないように、思っていることを全部出してしまおうと思った。

その話をしているとき彼は黙って聞いていた。真っ暗闇が朝焼けに変わっていた。彼は重い口を開いた。彼の一言一言に呆然とした。私は自分のことに精一杯で結局全然彼のこと見ていてあげられなかったんだ―。そのときが一番嬉しくて、嬉しい分だけ辛かった。彼は私のことを1ヶ月くらい考えていてくれたらしい。どうしたら私にとって一番良い結果になるのか、たった1人で考えてくれていたのだ。私は泣くこともできなかった。言われるがままだった。今が終わったら、永遠に会えない位遠くに彼を感じた。

院試の最中何度もその日のことを思い出した。私のなかで彼との関係に関してはそこで時が止まっていた。

院試でもがいていたら、自分のことが少し分かった。そうしたら自分のなかで気持ちに少しゆとりができた。私はその人のこと好きになったこと全然後悔していなかった。私はそのことをきちんと伝えられたのだろうか?

ねえ、わたしはまだ好きだよ。好きだって良いじゃん。好きすぎるとうまくいかないんだ、私。あなたのこと全部知ってやろうって思ってたけど、そんな必要ないって最近思うんだ。私はみたままのあなたを見ていれば、それがあなただって思える気がするんだ。それでね、やっぱりあなたには大笑いしていて欲しい。深刻な話は似合わないよ。心配するのは私の本能だから、仕方ないでしょ。ウザいかもしれないけど、私はあなたのことずっと心配してるから。気が向いたら話に来て。それが「私」の本来の姿だと思うから。

今度はもっと仲良くなってよ。ていうかなってもらうから。一般論なんて必要ない。
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